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コモンルーム[X]

20200114X_0

SYSTEM
シアが入室しました。
SYSTEM
ニオが入室しました。
ニオ
おねえさま
シア
うふふ。
最近よく行く場所とかはある?
ニオ
んー‥
特にないわ。星の標くらいかしら
でもふらふらしているから、どこにでもいるしどこにもいないわ
シア
それじゃあ、そうね。いいわ。
適当に始めちゃうわね。
ニオ
ええ
シア
 
 
王都イルスファール、ある日の夜。
〈星の標〉の冒険者としても過ごしているニオは、冒険者として今日も店を訪れ、必要な事を終えた後、店を後にする。
この後帰るべき場所、あるいは向かうべき場所があるのかどうかは君のみが知る事だが――
夜の街に踏み出した瞬間から、君の事を闇の中からじっと見つめている気配がある。
殺気のようなものがあるかと言われれば、あるような気もするし、ないような気もする。その視線からは、曖昧で虚ろなものが感じられた。
シア
好きに動いて大丈夫よ。
ニオ
「……」 "わたし"が囁く、ニオも気がつく 赤い靴を軽やかに 黒と銀の髪を靡かせて 相手の出方を待つように人気の少ない方へと移動していく
シア
〈星の標〉を出た所は、夜とはいえ人気のある大通りだ。
そこを避けるように、狭い路地に入っていき……周囲に感じられる気配が“それ”だけになったとき、気配の主は軽やかにニオの目の前に降り立った。
ニオ
「……」 きょとん、とした表情で その姿を見る
シア
夜の街の景色に溶けるかのように、暗色のローブを身に纏い、フードを目深に被っている。
その奥に見える顔に、“庭”に属する者であれば見覚えはあるだろう。
ニオ
「…‥おねえさま?」
シア
“華”という幹部の子飼いの“鋏”と呼ばれる“葉”。
“葉”の中でも優れた才能を持っていた彼女は、その領分を越え、様々な役割を果たし、後進の暗殺者たちの育成にも携わっていた。
「そうよ」 呼び掛けに返ってくる声は、君の知る彼女の声と似た、感情の薄い抑揚もない声。
ニオ
「……」少女の顔をもまた 一瞬無になって
「……お久しぶりです"鋏"。もっとも、そちらはわたしを覚えてはいらっしゃらないでしょうけれど」
シア
「そう。知らないわ、“私”は。初めて会うもの、あなたとは」
ニオ
「改めて、N-20。今は、ニオで通しています」 一礼してみせる
「……?」
シア
「意味がないわ。覚えられないもの。必要もない。意味のない事は、しなくていい。そうでしょう? あなたも」
ニオ
「…‥承知しました」 頷いて 「ご用件を伺いましょう」
シア
――呼んでいるわ、“華”が。あなたを」 ゆっくりと歩み寄り、眉一つ動かさないまま片手をニオの頬へと伸ばす。
ニオ
「──、あの方のことです。"匙"からの了解はもう得られているのでしょう」 触られるままに口を動かして
「であれば、応じましょう…──お好きに、どうぞ」
シア
「知らないわ。聞いていない。必要のないことは」
「目を閉じて」
ニオ
ゆっくりと瞼を閉じて
シア
――…………」 目を閉じたニオの耳に口を寄せると、小さな声で何かを呟く。
その瞬間、身体は浮遊感に襲われて――
「もういいわ」
ニオ
「‥‥…」目を開く
シア
目を開けば、辺りの景色は――何も変わっていない。夜のイルスファールだ。
ただ唯一、空に輝く月が異常なまでの紅さを見せていることが、一見しての違いだろうか。
ニオ
「──、なるほど」 一つ、呟いて
「……ふふ、嬉しいわ。素直に来てくれて」 呟きと同時に、背後から首筋に回される冷たく、しなやかな手の感触。
シア
「……」 目の前の“鋏”は、やはり表情も、指一本も動かさず、何処かをぼーっと見つめている。
ニオ
「……先日はニオが失礼しました」 振り向くことなく
「参上させていただきました。麗しき"華"……もっとも、蔦が伸びすぎているようですが」 回される手にされるがままに
シア
「……麗しき“華”だなんて。いい子ね。調整(きょういく)が行き届いている証拠だわ」 腕を回し、絡みつくようにしながら、耳元で甘ったるい声で囁く。 「……ところで、失礼って、何のこと?」
ニオ
「興味の赴くまま、貴方の領域に踏み込んだ事……もっとも、それもわたしの仕事の1つではありますが」 遺跡での一件を言っているようで
シア
おっと、さっきの名前欄がずれてたわ。
“華”
「あれは私が呼んだのよ? だからいいの」
「……ふふ、あれを殺すのはどうだった? 気持ち良かったかしら?」
ニオ
「……聞いてみますか?本人に」  
“華”
「ええ……あなたでも、あの子からでも、どちらからでもいいわ。聞かせて欲しいの」
ニオ
「結論から申し上げれば、」 絡みつく腕に頬を寄せて 「"わたし"を抑え込んでまで、あれに固執していましたよ」
「では…失礼します」 表情が一瞬切り替わって
“華”
「ふぅん……。あの子、そんな風にあなたに逆らったりするのね」 びっくり、と心にもなさそうに言って。 「何か最近気になるものが出来た、というのは知っていたけれど」
「……そんなに気になる?」 身体を寄せて、より密着を強めて、切り替わった表情を間近で見つめながら問いかける。
ニオ
「……こんばんは」 少し、声に震えがある 
“華”
「ええ、こんばんは。挨拶を忘れないのは、いいことね」
ニオ
「……ニオは、"匙"のお人形……"匙"の目、"匙"の耳…」 どこか言い聞かせるように
「だから、……」 気になる、と問われれば言葉に詰まって
“華”
「そうねぇ……。あなたはよく可愛がられていると思うわ。人形なのに、嫉妬を覚えてしまうくらい可愛らしくって……」 つ……と指先で頬をなぞる。 「いいのよ。思う事があるのなら、言っても。ここなら聞こえないし、たとえ聞こえても、少しくらいなら怒られないわ」
ニオ
「‥…‥なったわ。殺したく…とても、とても‥とても」 白状するように
“華”
「殺したいだなんて物騒ね。どうしてそんな風に思ってしまったの?」
ニオ
「もっと気持ちいいと思ったの。本物だったら…」
“華”
「そう。レプリカたちを殺すのも、気持ち良かったのね」
ニオ
「…‥よく、分からないの。気持ちよいのと」
「そうじゃないのとが、混ざって」
「試したいの。本物を……」
「でも……そうしてしまったら。もうそれは、お人形じゃない…"匙"が喜ばない」 声のトーンが低くなっていって
“華”
「うーん……あなたがどのくらいマカブルを使ってるのか知らないから、その影響がどのくらいあるかは分からないけれど……」 一度指を引き、んーとニオの背後で、口元に指を当てて考える。
「そうねぇ……。本物――という言い方には笑っちゃうけれど、あれは私にとっても大事なもの。柱になりうるものだわ」
「だから、殺されちゃうと、私と“匙”の間で、喧嘩が起きてしまうかもしれない」
「まあ、別に一度や二度死んだくらいでどうこうなるわけではないけれど――……ねぇ、ニオ?」
「どっち? 殺したいのか、気持ちよくなりたいのか」
ニオ
「……ニオは」
「……殺したいわ……戻りたいの。お人形に…」
「………でも」
“華”
――…………」 言葉を促すように、冷たい指をニオの肌に走らせ、身を寄せ、口元までをなぞりあげる。
ニオ
「……ん‥」
“華”
「……でも、なぁに?」
ニオ
「……分からないの。どうしたら、いいか」
「ジャンヌは……ニオに入ってくるから」
“華”
「……ふふ、戸惑ってるのね。それはそうよね。あなたたちには、ああして深く関わろうとしてくる相手なんて、今までいなかったんだもの」
「殺してしまったら、そこで終わり。もう二度と、彼女の声も聞けないし、触れることもできないし、味わうことだって出来ないの」
「……あなたは、本当にそうしたい?」
ニオ
「……」それで"匙"が見てくれるなら…ニオで遊んでくれるなら…  華の話によれば、でもそれは叶わない
「……ニオは、」
「ジャンヌと居ると、気持ちよいの……でも、それは、匙が一番喜ばない…」
“華”
「……そう」 愉しげな声色で頷く。 「だったら、良いやり方があるわ」
「彼女と気持ちよく過ごせたままで、“匙”にも怒られなくて、私の役にも立つ方法」
ニオ
「……え」
“華”
「人形にしてしまえばいいのよ。……あなたの望むことをしてくれる、あなたの邪魔をしない、あなたのためだけの人形に」
ニオ
「…ニオの…お人形…?」
“華”
「ええ、そう。あなたを気持ちよくしてくれて、一緒にいてくれて、でも……あなたを変えず、“匙”の人形のままで居させてくれる、都合のいい人形」
ニオ
「…‥でもニオは、……"根"じゃないわ……うまく、できるの?」
“華”
「大丈夫。出来るわ。そうしたいのなら、私が手伝ってあげる」
ニオ
「………」 ニオの、お人形。ニオのもの。ニオのジャンヌ‥
気がつけば少女は、薄い表情に笑みを浮かべていて
「……素敵、ね」
“華”
「……ふふ、そうでしょう? きっと、彼女も幸せに思ってくれるわ」
「そんなに気にかけているあなたのためになるんだもの」
ニオ
「とても、とても素敵だわ……ありがとう、"華"…」 "華"の手に頬ずりして それを胸元へと運ぶ
“華”
「お礼は、彼女をあなたのものに出来てからでいいわ」 腕を引かれるままに顔と顔を寄せ、互いの睫毛が触れそうなくらいに距離を詰めて。
「……ふふ、あの子も、あなたと同じくらい素直で可愛ければ良かったのだけど」
ニオ
「……あの子?」
“華”
悪魔のような美貌を持つ顔に、嫣然とした笑みを浮かべて、ねっとりと絡みつくような動作でニオの首筋を撫でてから、手を離す。
ニオ
「……ん……」 その指の動きに翻弄されるように甘い声をあげて
“華”
「そこの子の、本物よ」 目で、傍に佇んだままの“鋏”を示した。
ニオ
「……おねえさま」
“華”
「まあ、そういう自分勝手な所が可愛いんだけど、ね」
「ふふ、今のあの子にあったら、きっとあなたは驚くわ。随分人間らしくなっているから」
ニオ
「……そう」
「……分かったわ」 虚空に向かって呟いて
“華”
「あの子はどうしようかなぁ……。折角本人が望んでいるんだし、もっと人間らしく成長出来る手伝いでもしてあげようかしら」
ニオ
「ご挨拶したいみたいなの。わたしが」
“華”
「ええ、どうぞ」
ニオ
「……」 表情が切り替わって
「……"匙"の了承は得ているものと考えていましたが」 やや冷ややかな視線を"華"へと送って
「報告はさせて頂きます…もっとも、それで貴方の意図から外れる訳でもないでしょうが」
“華”
「えぇー……一々話なんて通してたら時間が掛かりすぎるし」
「気に入らなければ、あっちが跳ね除けるだけでしょ? だったら、無駄な事をする必要なんてないじゃない」
ニオ
「……」小さく息をついて 「仕事をついでに済ませていきましょう」
“華”
「あら、お仕事があったの?」
ニオ
「"葉"の発注と、会う事があったら届けろと言われていたものがあります」
“華”
「どういう方面に秀でた子が欲しいとか、リストはある?」 ほらほら、と催促するように手を伸ばして。
ニオ
「"葉"の方は質は問わないのでなるべく多く。今回の目的は荷運びだそうですから」
「人数分の薬も都合して頂きたいそうです」 胸元から取り出したリストを手渡す
“華”
「そう。じゃあちゃちゃっと用意しておくわ。連絡と受け渡しは、いつもの方法でいいわね」
ニオ
「ええ」
「それから」 片手サイズの小さな箱を取り出して 「こちらが届け物です」
“華”
「はいはい、了解。……ふーん、へー」 リストを受け取って眺めながら、気の抜けるような声を出して。
「なにこれ」 ニオの手から箱をつまみ上げて、矯めつ眇めつ。
ニオ
「リャナンシーの血漿と、"匙"が作った新薬です」
「サンプルとして提供しておく。だそうです」
“華”
「そう。助かるわ。私、そういう方面のコネは持ってないから」
「誠意は受け取ったから、安くしておくって伝えておいてもらえる?」
ニオ
データ見たければDMに送っておくわ
シア
受け取りましょう。
ニオ
「承知しました」
“華”
「それじゃあ、そろそろ帰るわね、私」
「まだやらなきゃいけないお仕事が残ってて、大変なの」
ニオ
「ええ。……お疲れ様です。その麗しさが損なわれない程度に頑張って頂きたい」
“華”
「ふふ、大丈夫よ。私は老いもしなければ、死にもしないもの」
「まあ、探し回れば死ぬ方法くらいは見つかるかもしれないけれど」
「それじゃあ、帰りはその子の案内に従って――ね?」
ニオ
「疲労はするでしょうから。"葉"の言葉ですが、お労りを」 一礼して
「楽しみにしています。またお会いする日を」
“華”
「気遣いが出来るそういうところ、好きよ。らしくないけど」 にっこりと微笑んで、“鋏”に合図を送れば
シア
「……」 すっと近付いてきて、ニオに触れる。 「閉じて」
ニオ
「……」 ゆっくりと目を閉じて
シア
どちらが発したのか分からないくらい小さな声が耳元で囁かれて、
意識が、現実へと引き戻される。
目を開けた時には、既に目の前の“鋏”はその場から立ち去っていて、辺りにはニオ以外誰の姿もない。
ニオ
「……」 表情は、慇懃無礼な女のものではなく、少女のもので
「……ああ…」 空を見上げて 恍惚そうな声をあげる
「ニオのものだわ…あなたは」
「……♪」 ハミングを奏でながら、路地裏から出て行く これで会いに行く事に苦しむこともない、
全ては、ニオのお人形のためなのだから
黒と銀の髪が、闇へと溶けて行く
そこには最初から誰も居なかったような静寂だけが残り
白い光を湛えた月だけが、目撃者だった
ニオ
こんなところ、ね
シア
ええ、おつかれさま。
ニオ
ありがとう
これでジャンヌに会いに行けるわ
シア
良い方法を提供出来たのなら何よりだわ。
ニオ
ええ
ではまたね
シア
ええ、またね。
ニオ
)))
SYSTEM
シアが退室しました。
SYSTEM
ニオが退室しました。
背景
BGM