- SYSTEM
- シリカが入室しました。
- SYSTEM
- フランシアが入室しました。
- シリカ
- うむ。
- フランシア
- はい
- シリカ
- どうしようか。私がフランシアが居ない時に屋敷に帰ってきて、メイドたちに包帯をぐるぐるされているところにでも戻ってくるか?
- フランシア
- それもいいかもしれません
- シリカ
- も。
- 何か考えがあったか。
- フランシア
- いえ、考えようとしていただけです それで行きましょう
- シリカ
- よかろう。
- シリカ
-
-
- 王都イルスファール、リンザー邸。主家の娘フランシアの友人であり、しばらくの間この屋敷に滞在しているナイトメアの娘が戻ってくると、その様子を見てリンザー家の使用人たちは酷く驚いた。
- 常日頃から生傷の絶えない彼女ではあったが、今回はいつもよりも手ひどく傷を負っているようで、疲弊した様子で屋敷へと戻ってきたからだ。
- その様子を表に出すような性格ではないが、彼女の事を長く見ている使用人たちはそれを見抜けない程愚鈍ではない。入浴してさっさと寝るという彼女を半ば無理やり引きずって、怪我の処置のために屋敷の一室へと連れ込んだ。
- 「…………」 本人は酷く不満そうな表情はしていたが、使用人たちが自分の事を心配しているのだということは理解している。時折文句を漏らしつつも、基本的には大人しくされるがままになっていた。
- 「……動き辛いな」 ようやく処置が終わり、使用人たちは食事や風呂の用意をすると言って出ていった。身体の色々なところに包帯を巻かれた身体の具合を確かめながら、ため息のように独り言つ。
-
- たったった、と 誰かが走る音がした 玄関の方からで 真っすぐこちらに向かってきている
- 部屋の前で止まると、少し間を置いて、部屋の扉がノックされる
- シリカ
- ベッドの端に座っていた状態から、上半身を倒した。足音が聞こえて来るが、身体を起こすのもやや怠い。
- 「開いている」 転がったまま、扉に向けて短く答えた。
- フランシア
- 「…失礼、します」 ほぼ全速力で駆けて来たのか、その声は荒れた呼吸のためか少しとぎれとぎれで
- 扉が開かれると レース等で彩られた 白いドレス姿のフランシアが現れる
- シリカ
- 「屋敷の中を走るなと怒られるぞ」 ベッドに横向きに転がったまま、やってきた娘へと自分がよくメイドたちに言われていた言葉を投げかけた。
- フランシア
- 薄く化粧も施されて 髪は結い上げられている 「…‥走ります、帰ってきて急でしたから」 スカートの裾を掴んでベッドの近くまでやってくる
- シリカ
- 「どうせ、使用人たちが大げさに伝えたのだろう。まったく、この程度の傷、大したことはないというのに」
- 「貴様は何処に出掛けていたのだ」
- フランシア
- 「お加減はいかがですか…?」 白い長手袋に包まれた手が、髪留めに伸びるとするりとほどけて いつもの髪型になる
- 「騎士の家の集まりです。年末か年始か、それぞれですが…ユディスまで行っていました」
- シリカ
- 「痛い。薬が染みてな」 横たわったまま、解かれて広がるフランシアの髪を見上げながら。
- フランシア
- 「……」 痛いと言われて 心配そうに 「……私にも神聖魔法が使えれば良かったのですが…」
- 「いえ、魔法で出来る事ばかりではありませんね……」
- シリカ
- 「そうか。人族のそういう集まりは、小言ばかり言われそうで嫌だな。特に私の噂が広まっていたら、貴様は針の筵のようなものではないのか」
- 「神聖魔法での治癒は施した。が、傷が深いとそれだけですぐに万全になるわけでもない」
- フランシア
- 「いえ…直接言ってくる方は数人くらいでした」シリカの手に触れて優しく撫でる 「どちらかと言えば、私の心配をしてくださったようです」 苦笑を1つ作って
- シリカ
- 「神殿で治療を受ければもっとマシなのだろうが、私の身ではな」
- フランシア
- 「しばらくは家に居られるはずです。傷が完治するまでは、看病します」
- シリカ
- 「……」 手に触れられて、眉を微妙に動かしつつ。 「クク、蛮族の娘などを手元に置いて襲われでもしていないかと心配されたか」
- フランシア
- 「ええ、まあ…‥」困ったように 「父からは特には言われませんでした」
- シリカ
- 「馬鹿を云うな。つきっきりで看てもらわねばならぬ程の怪我ではない」
- フランシア
- 「私がそうしたいだけです。…‥いけませんか?」
- じ、とシリカを見て
- シリカ
- 「貴様の父は、何か言うのならば直接のつもりなのではないか」
- フランシア
- 「そうかもしれませんが……カストレの一件についてもご存知でしたから」
- シリカ
- 「……心配性だな。この程度の怪我、私にとっては日常茶飯事だ。南に居た頃は、毎日のようにこのくらいの傷を受けていた」
- フランシア
- 「シリカにとって日常茶飯事でも、私達から見れば重症です」
- シリカ
- 「……そうか。まあ、追い出せと言われなかったのならばいい」
- フランシア
- 「戦士が傷を甘く見ては本末転倒ではないですか」
- シリカ
- 「甘く見ているわけではない。この程度で誰かを頼るなど、それこそ甘えだ」
- フランシア
- 「……甘えてください」
- 「それは甘えて下さらないと、…」 小首を傾げて 「私が甘えっぱなしです、シリカ」
- シリカ
- 「……私たち戦神の信徒は本来、他者を信用せず、頼るべきではないという考えの下に動いているのだ」
- 「……」 その言葉に対してフランシアに視線を向けることはなく、ベッドに横たわって何処かを見たまま。 「思えば、最近の私は少し弛んでいたのだ」
- フランシア
- 「……まだ、未熟である事は自覚しています。ですが」
- 立ち上がる気配がして シリカの視線に入るように
- 「この屋敷に初めてお招きした頃と今では、違います‥‥信頼、していただけませんか」
- 「人は頼って貰えないと……相手を頼れません。信頼関係とはそう言うものです」
- 「弛んでいたというなら、また締められる様に色んな事にお付き合いします」
- シリカ
- 「……」 ため息をついて。 「此方へ落ち延びてきた私は、弱い。生きるために仕方なく、この社会に身を置いた」
- フランシア
- 「ですが、締める前には、身体を万全にしないといけません。……これだけは譲れません」
- シリカ
- 「他者を信用し、頼るのではなく、自分のためだけに利用する。最初はそう思っていたはずなのに、いつの間にか慣れが出てきたのだろう。貴様たちに頼るという、甘えが出てきていたのだ」
- 「先日南の蛮族共と戦って、それを実感した」
- 「戦神の声が、少し遠くなった」
- 「……その上、今回の件だ。私は自分ではなく、群としての勝利のために、他者の命を優先した」
- フランシア
- 「……」 静かにシリカの言葉を聞き入って
- シリカ
- 「……色々と理屈をつけて無理やり自分を納得させようとしたが、本当にそれが戦神の使徒として正しいのか分からない。声はまだ、遠いままだ」
- フランシア
- 「……シリカにとっての信仰は、」 ゆっくりと席に戻って
- 「きっと私の中にある信仰よりも重たいものだと思います」
- 「……ですが、誰かのために自分を優先できることは、誰にでもできる事ではありません」
- 「戦闘という命のやり取りにおいて、なら猶更」
- シリカ
- 「……これでも神官だからな。蛮族領に居た頃、私が人の身で他の者たちと対等以上に渡り合えたのは戦神の加護に拠るところも大きい」
- フランシア
- 「これでも、というのは語弊があると思います。シリカは、その宗派が特別なだけで、真摯な信仰者だと思いますよ」真剣に
- シリカ
- 「……だからこそ、駄目なのだ」
- 「群としての勝利を得たとしても、それで自分が命を落とせば、個にとっては敗北だ」
- 「……敗北も死も、私たちが最も忌み嫌うもの。私は、そんなところに自ら進もうとしたのだ」
- 「……だというのに」 寝返りを打って、フランシアに背を向けた。
- フランシア
- 「……私は」
- 「他者を思いやれることも、"強さ"だと思います」
- シリカ
- 「さきほ――」 背を向けたまま開きかけていた口を閉じた。
- フランシア
- 「ああ、すみません…」
- シリカ
- 「……いや」
- フランシア
- 「……余裕のあるものにしか、それは出来ない行動だからです」 続けるように口を開いて
- シリカ
- 「出会ったばかりの頃、言ったはずだ。それで他人を生かしても、自分が死ねばその先には何もない、と」
- フランシア
- 「…シリカが、無策にただそうしたとは思えません」
- 「シリカなら、自分も生き残ったうえで、誰かを生かすために……ほんの少し思いやりを見せてくれたのだと思います」
- 「私が直接…その場に居たわけではありませんが」 再び、立ち上がる気配
- 回り込んで寝返りを打ったシリカの視界に入るように 姿勢を低くして覗き込む
- 「それを、甘えだとか、弛みとは、思って欲しくないです」
- シリカ
- 「…………」 覗き込んでくる視線から、目を外す。
- フランシア
- 「貴方はきっと、最善を尽くすためにそうしたのですから」 頭に手が伸び欠けて、 「……」これは流石に失礼だと思って 伸びかけた手を引っ込める
- シリカ
- 引っ込んだ手へと向けて不意に手を伸ばし、強引にベッドの上にフランシアの身体を倒れ込ませる。
- フランシア
- 「あっ…し、シリカ…?」
- シリカ
- 「……甘えだ、これは」
- 「……私が今しがた語った言葉は、本心ではある。だが……」
- 「本当に心の底からそう思っているのならば、屋敷には帰らず、何処かへ姿を消すべきだろう」
- 「……多分、私は貴様に聞いて欲しかったのだ」
- フランシア
- 「……シリカ、」
- シリカ
- 「……下らん甘えだ。そう思っているのに、先程フランシアの声を聞いて、私は確かに安堵を覚えた」
- フランシア
- 身体の向きをシリカに沿う様に合わせてから その頭を胸に抱くようにする
- シリカ
- 「……!? お、おい……」 そんなことをされるとは思っておらず、困惑した様子でくぐもった声をあげた。
- フランシア
- 「…失礼、かもしれません…いやだったら、言ってください」
- 「ああでも……これでお相子に出来ますね」 ふふ、と笑う声がして
- シリカ
- 「……私は別に、泣いてもいないし、嘆いてもいない……」 笑う声にはぶつぶつと不満を漏らしながらも、逃げたりはせずに。
- フランシア
- 「いくらでも聞きます。シリカの悩みを共有出来て、とても嬉しいんです」
- 「では、最近は忙しいのもあって、あまりお相手も出来ませんでしたから……埋め合わせだと思って下さい」 不満にはそう答えて
- シリカ
- 「人たらしめ……。こういうことは、私のような蛮族ではなく、好いた男にでもしてやれ……」
- フランシア
- 「出来たらそうします。ですが、今の一番は、シリカなので」
- 「シリカにそうしているだけです」 また、笑みを含んだ声が聞こえて
- シリカ
- 「っ……や、やめろ、恥ずかしい……! 鳥肌が立つ……」 珍しく焦ったようにどもって、顔を見られないように深く顔を埋めた。自分では見えないが、角に隠れた耳までも、真っ赤に染まっているだろう。
- フランシア
- 「……」 受け止める様に腕をシリカの頭の後ろに回して
- 「いくらでも聞きます。いくらでも悩んでください。支えられるように、私は貴方の傍に居ます」
- 「泣かれることはない分、そうして、分かち合わせてください」
- 「それを弱さとは…きっと言わないはずです」
- シリカ
- 「…………」 言葉では答えず、代わりに胸に埋めた顔を頷くように微かに動かした。 「……このまま、少し眠っていいか。思っていた以上に、疲れていたらしい」
- フランシア
- 「はい」 頷いて 「また、お声掛けしますから、お風呂に入って、ご飯を食べて…」
- 「しっかりと休んでください。お疲れ様でした…シリカ」
- ためらいがちに、頭を撫でて 「こ、これも失礼だったら言って下さい…」
- シリカ
- 「…………」 首を横に振り。 「……貴様にされるのであれば、許してやる」
- 「しばらくはゆっくりできると言ったな。ならば明日からは、私自身を鍛え直すのに付き合え」
- フランシア
- 「喜んで」
- シリカ
- 「……甘えがあろうと、それを凌駕するだけの力を持てば、戦神も何も言えまい」
- 「……私が眠るまでは、そこを動くないよ」 最後にそう言って、フランシアに撫でられたまま目を閉じた。
- フランシア
- 「……おやすみなさい」
- 戦神の声は遠のいたと言っていた。失われた訳ではないのなら、それはもしかするとシリカに対しての試練なのではないか、とも思う
- 神官の信仰の形は神の声を聴かない自分にははわからない、ましてやダルクレムの信仰等は、どうしても難しい
- 「(もっと、教えてください…貴方の事を)」 悩みを共有してくれるまでになった親友の頭を、愛し気に撫でながら
- 使用人の一人が食事と入浴の準備を告げに来るまで しばしの間自分もそのまま横になるのだった
- その時、ドレス姿のままであった事を咎められて、怒られるのはまた別のお話
- フランシア
- こんなところでしょうか
- シリカ
- うむ。こんなところだろう。
- フランシア
- クッキーのお礼はまた今度ですね
- シリカ
- そんなものまで用意していたのか。
- フランシア
- はい。ですから開幕をどうしようかと悩みました
- シリカ
- 成程な。
- フランシア
- ですがいっぺんに消化しても
- シリカ
- まあ、今日も出番はあるし、またその後でもよかろう。
- フランシア
- はい
- お付き合いありがとうございました。シリカ
- シリカ
- 此方こそな、フランシア。
- フランシア
- では
- )))
- シリカ
- うむ。またな。
- )))
- SYSTEM
- シリカが退室しました。
- SYSTEM
- フランシアが退室しました。