このログにはBGMが含まれています。
音量設定をONにしますか?
(後からでもメニューから設定変更できます)

コモンルーム[X]

20191231X_0

SYSTEM
アウラが入室しました。
SYSTEM
ルトヴィークが入室しました。
ルトヴィーク
まあ今回はシリアスなあれではない感じ(当社比)だと思うから
そんな感じで。
アウラ
承知いたしました
リードはお任せしてもよろしくて?
ルトヴィーク
ダンスは苦手だな……
 
 
 
 
 
 
――ここは王都イルスファール、〈星の標〉……ではなく。
その南東部にあるアステリア神殿だ。
聖人の生誕祭を終え、慌ただしく行事が続く中
訪れる信者も普段よりは多く、神殿での神官らの仕事も嵩んでいる。
 
ルトヴィーク
そんな神殿の入り口に、どうしたものかと立ち尽くす影がひとつ。
伸びっぱなしの髪をそのままに流して、鎧ではなく薄い普段着を纏っており
腕は胸の辺りで纏めており、腕の中には薄汚れた犬を抱えている。
犬はやせ細っており、身なりも汚い。が、青年の腕の中で唸り声を上げながら、警戒するように抱えている腕に噛み付いている。
牙は深く食い込み、手からは少量の出血しているが それをさして気にする様子は無い。
視線はふらふらと神殿へと向いており、探し人がいるようではあるものの
人の多さから来る、声の多さと大きさに不快そうに眉を顰めてしまい、周囲の人間も声をかけづらい様子だ。
ルトヴィーク
これくらいでいいかな
 
神官や神殿に祈りを捧げに来た人々も 遠巻きに見ている中
神官に手を引かれて ひとりの少女が現れる
アウラ
行事用だろうか 白い司祭服に 短い金髪。青い瞳の少女は その様子を見て 困った表情を浮かべて自分が呼ばれた理由に納得した
 
後はお願いしますという声と共に手を引いてきた神官は神殿に戻り
アウラ
少女は手始めに、青年に声をかけることにした
「ごきげんようルトヴィーク」 近づいて歩いて行って 参拝者や神官がアウラに頭を下げるのを手で制しながら
「変わったお友達ですわね」 困ったような表情で 腕の中で牙を立てる犬を眺めやる
ルトヴィーク
アウラに声をかけられると、そちらに視線を向ける。すると、挨拶もしない内に「見つけた」と呟いて、正面に捉える。
「拾った。どうしたらいい?」 腕の中で未だに牙を立てる犬を示しながら、友達ではないとばかりに首を横に。
アウラ
「……」ますます困った表情で 「どちらで拾ったのですか?」
腕の中に居る犬の犬種や、首輪の有無。健康状態などをざっと確認していく
ルトヴィーク
「仕事の帰り。こいつより大きな奴が死んでて、こいつがその隣にいた」 
 
犬種としては小型犬の部類だろう。首輪は付いておらず、ストレスの為か興奮状態に陥っており、触れてみれば痩せぎすな体形である事は理解できる。
ルトヴィーク
「別に放っておいてもよかったんだけど」 一度視線を犬に落として
未だに噛んでいる犬に何を言うでもなく、するでもなく すぐにアウラへと視線を戻す。
アウラ
「……気になりましたか?」
ルトヴィーク
首を横に振って 
「……うるさかったんだ」
アウラ
「……それを気になる、というのですわ」 困ったように笑って
病気の類は無いと思いたいが、 「一度、降ろしましょうか」
ルトヴィーク
「うん。……、……」 噛んでいる牙を、口を左右から押し込むことでやめさせて
そのまま地面に下ろす。逃がさないようにだろうか、首を掴んだままだ。
アウラ
「……一先ずはこれを」 神殿の備品だろうか ポーチから包帯と薬瓶を取り出して ルトヴィークの傷の消毒と止血を施していく
ルトヴィーク
「別に、動かし辛くなってないからいいのに」
アウラ
「戦士であるならば、1つの傷で亡くなる事もある怖さはご存知のはずですわ」
「処置は大事です」
ルトヴィーク
「体験したことがないから」 首を傾げて
アウラ
テキパキと処置を施して 道具類をしまいながら 「…それで、どういたしましょうか」
ルトヴィーク
「……」 特に考えてはいなかったのだろう。暫くフリーズして
「どう?」
アウラ
「…見たところ、気に入っていらっしゃるようですが」逃がさない様にしているのを指摘して
ルトヴィーク
「気に入って……」 いるのだろうか。ただ、家族(おや)が死に、それから離れられない状況には、見覚えがあった。
その時の気持ち悪さも、同様に。だからこそ、そこから連れてきてやった事は確かだ。
「……は、ない」 首を曖昧に横に振って 「放っておく方がいい?」
アウラ
「……ここまで拾ってきてしまった後にそれはいかがなものかと」 諭すような口調で
「せめて、新たに世話をしてくれる方を探すか、ご自分で世話をするか……そのどちらかをするべきですわね」
ルトヴィーク
「新たに」 言葉を受けて、視線はそのままアウラへと向けられる。
アウラ
「……私や貴方は、仕事に出ている間お世話ができないではありませんか」
「連れて行くわけにもいかないでしょう?」
ルトヴィーク
確かにその通りだ。加えて、自分はどうにも嫌われている。腕の中でもがく犬を見ながら納得するように頷いた。
アウラ
「……神殿の誰かに頼むというのも手ではありますが」
「‥…なんだか、押し付ける様で憚られます」
ルトヴィーク
「……なら、独りでいさせてやる? 欲しがる奴とか、いるのかな」
アウラ
「そうですわね…」
「……独りで居させるのは、まず置いておきましょう」
ルトヴィーク
「……」 その返事には、少し安堵したように瞳が緩んだ。
アウラ
「見たところ小型犬なので、」
「それ程大きなお家が必要という訳でもありませんが、たぶん雑種ですわよね…」
ルトヴィーク
「ザッシュ?」
アウラ
「色んな犬種の血が混ざった犬という事ですわ」
ルトヴィーク
「ハーフだとか、そういう奴か」 試しに抑える手と逆の腕で撫でようとしたところで 治療の後に牙を立てられそうになると、手を引いて避けた。
アウラ
「……」 困ったようにその様子を見て せめて、今少し人慣れた子を連れて来てくれれば
「…こちらで預かりましょうか」
ルトヴィーク
「神殿で? ……嫌なんじゃないの」
アウラ
「ああ、いえ。私が抑えてましょうかという意味ですわ」
ルトヴィーク
「……」 少し考えて
アウラ
「……一時的に預かる事は出来るとは思いますが」
ルトヴィーク
「噛まれる」 アウラの手を示しながら、渋る様に。
アウラ
「試してみましょうか…動物からは好かれる方ですから」
ゆっくりと子犬に手を伸ばし
ルトヴィーク
む、っとしながら、試してみると言った言葉に頷いて
 
アウラから手を伸ばされると、やはり少し警戒するようにしたものの
アウラ
恐る恐る、と言った様子で 頭に手を載せて 耳の裏などをかいてやる
 
視界の真上から圧迫する様に手を伸ばしていたルトヴィークへの対応とは異なり、
無論警戒はして、腰は引けるものの 噛み付いて返したりはしなかった。
アウラ
「……」 こわくない、こわくない と仕草で示すために、ゆっくりと頭を撫でて
顎の下などもかいてやる
 
暫くそのままの調子で手を伸ばされれば、警戒して剥き出していた牙を収め
撫でる手に、やはり警戒はしながらも 犬からも、恐る恐るという様子ではあるが、舌を這わせて舐めて来る。
ルトヴィーク
その様子を見ながら、少し不思議そうに首を傾げ 自分の手と、アウラの手とを見比べる。
アウラ
「……」 もしかしたら、飼い犬だったのかもしれない 何らかの理由で親と2人、飼い主から引き離されてしまったのだろう
ルトヴィーク
薄汚れた手を見ながら、一つ首を傾げて 犬に手を差し伸べるアウラへと口を開く。
「平気そうだ」
アウラ
「いらっしゃい」 そのまま、両手で腰のあたりを抱き上げて それから自分の胸に抱くようにする
 
アウラの腕の中に収まると、尾を振るとまではいかないまでも 少なくとも唸る事もせず、大人しくしている。
アウラ
「もしかしたら、誰かの犬だったのかもしれませんわね……ちゃんとしてあげれば人に慣れた子です」
ルトヴィーク
「誰かの? ……なら、連れて来るべきじゃなかったか」
アウラ
「いいえ。理由はどうあれ、放っておかれたのを助けた訳ですから」
「その行いそのものは尊いものですわ。ルトヴィーク」
ルトヴィーク
「……ん」 ぎこちなく頷いて 「でも、随分反応が違う」 俺とあんたと。犬を示して
アウラ
「急に持ち上げたり、上から抑えようとしたり、圧迫すれば警戒させてしまいますから」
「もう少し優しく、目線を合わせてあげれば、そうはなりませんわ」
ルトヴィーク
言われて、首を傾げながら少し屈んで
アウラ
子犬の背中を撫でてやりつつ
ルトヴィーク
アウラの正面に立ち、犬と目線を合わせる。
「同じ目線」 しっかりと視線を合わせて、上からがダメなら下からか、と手を下から持ち上げて
 
目線が合ったルトヴィークに対して、小さく喉を鳴らして唸り始める。
アウラ
「……あ、」
ルトヴィーク
唸り声にぴたりと手を止めて眉根を顰める。露骨に不満そうだ。
アウラ
「……」 よしよしとあやすように背中を撫でて
ルトヴィーク
「駄目みたいだ」 屈んでいた姿勢を正して、首を横に振る。
アウラ
「ここに連れてくるまでの間に、少々乱暴すぎたのかもしれませんわね」
「……」 うーん、と悩むようなそぶりをして
ルトヴィーク
「……嫌われたなら、別に」 それはそれで、という様子で答えて
「?」 悩む素振りに
アウラ
「……いいえ、ルトヴィーク。これは貴方の犬です」
「私と、それから神殿でお預かりしましょう。ただし、」
「貴方が定期的に様子を見に来る。餌代を負担する。その2点を貴方に要求いたしますわ」
ルトヴィーク
「……嫌われてるのに来ても」 お互いに良い事は無いだろう、と言いたげに眉を顰めて
アウラ
「……いい機会だと思うのです」
「どんな形であれ、貴方が興味を持ったものなのですから」
「いかがでしょう」
ルトヴィーク
「……」 否定する事はなく、視線を逸らして頭を掻く。
「わかった。……その内行く、で良いだろ」 
アウラ
「では、まずはしなければならない事がありますわね」
「首輪の調達と、」足を神殿の外に向けて 「命名です」
ルトヴィーク
「首輪は、……探して来る。名前は任せてもいい?」
アウラ
「だめです。首輪は今から買いに参りましょう」
子犬を抱えたまま歩き出して
ルトヴィーク
「……え」 困惑したように視線を向けて
「仕事は?」
アウラ
「名前は、貴方が決めなければなりません」
「私は神殿に来た方の悩みにお答えしているだけですわ」 振り返って どこか勝ち誇るように
「そのために動くのに、何の支障がありましょうか」 ふふ、と笑って
ルトヴィーク
振り返り、得意気に笑う姿を見て
少しだけ不満そうにしてから、小さく頷くと その横――ではなく、一歩前にふらりと出て
「……じゃあ、働いて貰う」 そんな、どこかズレた言葉を吐き出した。
アウラ
「お店に到着するまでに案を1つは出してくださいな」
ルトヴィークの後ろをついて行きつつ
ルトヴィーク
「……店って、どれくらいで着くんだ」
アウラ
「商業街の"星の標"側ですから、歩いて2、30分程でしょうか」
ルトヴィーク
「……」 頷いて 名前をと言われて考え込む様にぼんやりして
アウローラ・フォン・デーニッツ。こちらに来てからはじめて覚えた名前(おと)だ。
そこから何か、浮かばないものかと考える。
暫く首を傾げて、短く言葉にしながら音の感触を確かめる。
「アウ……、……フォン……」 ううむ、といくつか浮かんだ音に迷って
アウラ
「……?」 怪訝そうに
ルトヴィーク
「ロー、ラ?」 首を傾げながら、振り向いて
アウラ
「……えっ」
ルトヴィーク
「……?」 何か、と言いたげに
アウラ
「ああ‥いえ…」
「私の愛称だったものですから……少し驚きました」 微笑んで見せて
ルトヴィーク
「……」 傾げていた首を更に傾げて 
アウラ
「アウローラ、仲のいい友人やきょうだいたちからは、ローラと」
ルトヴィーク
「じゃあ、他にしよう。……あんたの名前の音から、って思ったんだ」
アウラ
「…別にローラでも良いですわよ?」
「そう、呼んでくださるのでしょう?」 この子を、と胸元の子犬を示しつつ 自分も微笑んで見せる 
ルトヴィーク
「……」 頭を掻いて 「あんたも反応しそうだ」
アウラ
「そのつもりでしたのに」 ふふ、と笑って
ルトヴィーク
笑顔を見ると、不思議そうに
「犬みたいだ」 アウラの眼を見ながら、しっかりと口にした。
アウラ
「まあ」
「ルトヴィークからそう言われてしまうなんて……」
ルトヴィーク
「……どういう意味」 むう、と気持ち口を閉じて
アウラ
「ご想像にお任せ致します」
ルトヴィーク
より一層不満そうにしてから 進行方向へと向き直って
アウラ
「ねぇ、ローラ。貴方はローラですわ」 両腰を掴んで持ち上げて
子犬
持ち上げられれば、慣れてきたのだろうか。人懐こい目を向けて、アウラにゆっくりと尻尾を揺らして見せる。
アウラ
「素敵なお名前だとは思いませんか、飼い主のルトヴィーク様」 ローラをまた胸に抱いて
ルトヴィーク
表情は見せずに、真直ぐに歩きながら
「ああ。きら、……」 首をふい、と横に振って
「好きな名前だよ」 少しだけ、普段より早口に 「だから付けた」
アウラ
「…‥」 ちょっと驚いて ローラを抱く力が籠った
ローラ
力が強まると、少しだけ身動ぎする。そのまま身体を伸ばして、アウラの顔を舐めようと舌を出して見せて
アウラ
「ああ。ごめんなさいローラ…」 よしよしと右腕で保持してもう左手で撫でてやる
ローラ
撫でられると目を細めて その手に身体を委ねる。
ルトヴィーク
青年はすたすたと前方を先に歩む。以前の一件以降、合わせていた歩調よりも少し早い。
アウラ
「あ、待ってください」 わざとペース上げましたわね
「お店の場所、ご存知なのですか?」 もう、と 離れて行く背中に声をかける
ルトヴィーク
「……」 待ってくれと言われれば、立ち止まって振り向く。
「…………知らない」 向き直って、視線を合わせて 普段通りの表情で頷いた。
アウラ
「まったく…」 困ったように笑って
「その道では遠回りです」 と別の道を示しながら 
「ペットを飼う人というのは限られてますから、王都だとお店が小さくて限られているのですわ」
ルトヴィーク
「金持ちだけ、だよな」 示された方に入りながら、今度は隣に並ぶ。
アウラ
「私は呪歌の引継ぎの為に小鳥を飼っているので、その関係で探したのです」
ルトヴィーク
「小鳥」 「……歌うのか?」
アウラ
「ええ、呪歌を真似して歌う事ができます」
ルトヴィーク
「……」 ふむ、とうなずいて
「ローラも歌うか」 視線を向けて、手は伸ばさずに。
ローラ
横目でルトヴィークを一瞥しながら、特に反応は示さない。警戒はまだ解けていない様だ……
アウラ
「どうでしょうか……でも、それはそれで可愛いですわね」
「この通りを行って…この裏ですわね」
しばらく歩いてから、そう言って
ローラ
「ああ。じゃあ、……」 促されるまま歩いて行って
ルトヴィーク
……
アウラ
よくあることですわ
りていくりていく
ルトヴィーク
「ああ。じゃあ、……」 促されるまま歩いて行って
 
店は小奇麗で 多少の高級感を滲ませるもので
ルトヴィークの入店を確認すると、一瞬受付の店員は怪訝そうな顔をしたが
すぐに続いて入ってきたアウラの顔を確認すると、すぐに営業スマイルを載せる
ルトヴィーク
その代わり身を見ても、慣れた様子で気にする事はなく
店員
「いらっしゃいませ。先日はお買い上げありがとうございました」
ルトヴィーク
ただ、そのままアウラの後ろに回った。
アウラ
「良い買い物ができました」 お辞儀を一つして 「今日は別の子の物を買いに来ました」
店員
「はい。…犬、でしょうか」 アウラの胸に抱える子犬を眺めて 「一揃いご用意いたしましょう」
アウラ
「ありがとうございます。首輪を先に見せて頂いても?」
店員
「ええ、こちらに。印字もすぐに出来ますよ」 サンプルを出して
染色された革に金属のプレートが付けられていて 革の色も10種類くらいある
アウラ
「どれが良いですか?」
ルトヴィーク
アウラと店員の様子を見ながら、店の中をふらふらと見回している。特に商品に手を伸ばすでもなく、眺めるだけではあったが、
声をかけられれば、そちらに視線を向けて
ローラを一瞥する。汚れているせいもあるだろうが、ややくすんだ黒毛の犬を見ると、首を傾げて
 
店内はいくつかのケージに 壁にはめ込まれたような小さな檻に 何匹もの犬猫が居た
そしてペット用品、ペットフード等が棚に並んでいる
ルトヴィーク
「……白?」 アウラに聞くように口に出す。これでいいか、とばかりに。
ケージに収められている犬猫を見ると、どこか気にする様に、憐れむ様に眼を細めて ローラを上から撫でようとして、唸られて止める。
アウラ
「では白を」 ルトヴィークに頷いて
店員
「かしこまりました。印字はどういたしましょう」
アウラ
「ローラ、とお願いします。後は、小さくルトヴィークと」
ルトヴィーク
「……ローラ、って――、」 自分の名前も共に記せと書いたアウラに視線を向けて
「……なんで?」
店員
「追加料金が発生しますが…」
アウラ
「構いません。それでお願いします」
「貴方の犬だからですわ」
ルトヴィーク
「……」 お前も、アウラに飼われた方が嬉しいだろうに。ローラに視線を向けて、変わらず自分に警戒を強めている姿を見ると、肩を竦めて
「そう、わかった」
店員
「では、1時間後にまたいらしてください。清算だけお先に」
アウラ
ルトヴィークを促すように
ルトヴィーク
頷いて、清算を済ませて
「足りてる?」
店員
「ええ。問題ありません」
アウラ
「では隣の喫茶店に参りましょう」
「確か動物の持ち込みが良いお店だったはずですわ」
ルトヴィーク
「分かった。……ローラも入れるなら」 続いた言葉に頷いて
「……でも、喫茶店って何」
アウラ
「お茶や簡単な料理を頼めるお店のことですわ」
と説明しながら店を出て
ルトヴィーク
それに続いて、アウラの後ろにつきながら
雑踏の音から逃れる様に、アウラの音に集中する。
アウラ
喫茶店に入ると、窓際の対面席につく ローラは臨時の首輪とリードがつけられ、子犬用の餌などが入った皿が目の前に置かれる
「紅茶と……」 何がいいですか、とルトヴィークに視線を投げて
ルトヴィーク
物珍しそうに店内の様子を眺めながら、他のペットを連れた客人達を見る。
(場違いだ) 小さく溜息を吐きながら、 「珈琲がいい」
アウラ
「では紅茶と珈琲。茶葉もブレンドもオリジナルを」 と注文を付けて
「いい商売をしていると思いますわ」 ふふ、と笑って 「そう言ったお店の近くに、ペットも入れる喫茶店。良い提携関係と言えるでしょう」
ルトヴィーク
「冒険者だって、そうだもんな。物を売る奴らと、仕事を割り振る奴と」
アウラ
「ええ。上手くできているものです」 頷いて
ルトヴィーク
「……なあ」
アウラ
「はい」
ルトヴィーク
「…………」 言葉を出せずに、そのまま暫く黙り
 
店員も行き届いているのか、弱っている子犬の為によく解された肉や柔らかくした野菜等を用意してくれていた
ルトヴィーク
今もローラの世話をするアウラをぼんやりと見ながら 恐る恐る、口を開く。
「昔の事、話してくれただろ」
アウラ
「はい」
ルトヴィーク
「……だから、俺も」
「少しだけ」 窓の外を眺めながら、それだけ言って言葉を切る。
アウラ
「……」 ローラから視線をルトヴィークに移して 居住まいを正す
ルトヴィーク
「聴いても、楽しくないし」
「あんたみたいに、何かをできた訳でもないけど」
それでもいいか、と 視線を向ける。
アウラ
「それを決めるのは、私です」
「聞きたいです。貴方の事を」
ルトヴィーク
いつかの時と同じ、胸と腹の間に気持ちの悪いものを覚えながら
ぎこちなく頷いた。
「……ユディスで、生まれた」
「冒険者とは、違ったけど 俺を育てた奴は、傭兵って仕事をしてた」
「それを手伝って、……ずっと、殺してた」
「人族とか、蛮族とか、動物とか」 指折り数えながら、まるで良い事の様に頷いて
「頼まれたものは、何でも。……」 続く言葉を見つけようとして、記憶を掘り返す。
アウラ
「……」 静かに聞き入って 店員が気配を消して 紅茶と珈琲をテーブルに置くと そのまま店内に戻っていった
ルトヴィーク
「何人とか、何匹とか、そういうのは覚えてない。……殺す事が、仕事で」
「今も、それは変わらないけど」 目を細めながら息を吐いて
「……それしかない。あんたみたいに、何が好きとか、何が嫌いとか、抜け出て来たとか……そういうのは、ない」
「闘うだけと、殺すだけ。そういう、人生だった」
アウラ
「……」 相槌を打つように 続きを促すように見つめて
ルトヴィーク
その視線には、首を横に振って
「それだけ。……これだけ」
アウラ
「……」 小さく頷いて
「だった、で」
「だった、で良かったではありませんか」
「これからは、変えていけるのですよ。ルトヴィーク」
ルトヴィーク
「……」 言葉の意図を理解しかねる様に、視線を逸らして
アウラ
「これまでの自分を受け止めて、これからの事を考えるべきですわ」
「何が好きとか、何が嫌いとか……何が気になって、どうしていきたいかを…考える事ができるという事ですわ」
「これからではありませんか」
「……話してくださり、ありがとうございます」
ルトヴィーク
「……」 ひとつ、伏せた事は言葉にせず
「これから、……どうなるんだろうな」
アウラ
「違います」
「どうなるんだろうな、ではありません」
ルトヴィーク
「……どう、するか?」
アウラ
「他人ごとにしないください。貴方はもう、命の1つを預かる身なのですよ」
ルトヴィーク
ローラへと視線を落として、アウラの言葉を思い返しながら
アウラ
「どうしたいかです」
ルトヴィーク
「……ひとつの命」 そっと、ローラへと手を伸ばした。言葉通り、下からゆっくりと。
ローラ
伸ばされた手には、まだ警戒を強めながら――一瞬だけ、アウラへと助けを求める様に視線を向ける。
アウラ
片手で後ろからルトヴィークの方に少し寄せる様に押しながら 小さく頷いて
ルトヴィーク
「……来い」 手を伸ばしながら、誘う様に指を動かす。
ローラ
アウラの対応に、ゆっくりと向けられた手に興味を示して
身体を預ける、とまではいかなかったものの 噛むことはなく、身体を寄せはした。
ルトヴィーク
「……」 珍しく、恐る恐るという様子でその身体に触れると
「ア、アウローラ」 やはり珍しく、慌てたように名を呼んで 視線を向ける。
アウラ
「……」優しい笑みを浮かべて 一つ頷いた 「貴方の犬。貴方のローラですわ、ルトヴィーク」
ルトヴィーク
「潰し、そう」 力の籠め具合が解らず、あたふたしながら
アウラ
「優しくです。私の手を握る時よりも、優しく」
ルトヴィーク
優しく、優しく。心中で繰り返して、意を決した様に両手を伸ばし
「……来い、ローラ」 見ている側も不安になるほどに、力を抜きながら抱え込んだ。
ローラ
抱え込まれると、それは許すつもりはない、というばかりにもがき、唸りながらルトヴィークの腕に収まる。
ルトヴィーク
「あ、ばれるな……」 むっとしながら、腕で抑え込み はたから見ても窮屈そうに抱き込んだ。
アウラ
「ローラ」 大丈夫と子犬の名前を呼ぶ
「耳の裏ですわ。耳の裏をかいてあげてください」
ローラ
名を呼ばれれば、動物というものはそちらに向かおうとするものではあるが、
アウラの生来の素養か、意図を察して すん、と鼻から息を吐き出して腕の中で動きを止める。
ルトヴィーク
言葉通り、耳の裏を掻くが 爪まで立てた為か、ローラからはキャン、と声が上がる。
アウラ
「気持ちとしては撫でる、ですわ」
ルトヴィーク
「撫で……」 ローラの声に肩を揺らして驚きつつ 人差し指の腹でうりうりと掻いてやる。
暫くそんな形で、力の強弱等々の制御に苦心していたが
やがて、とりあえず腕に抱える程度にはなれた。
アウラ
「……」 砂糖を2つ。レモンを絞って スプーンでかき混ぜる
ルトヴィーク
――……」 残ったのは、神妙な顔で犬を腕に抱え、延々と耳をかきつづける青年の姿だ。
アウラ
「……いかがですか」 ソーサーごとカップを持ち上げて 
ルトヴィーク
「……潰しそう」 気が気じゃない様子で
アウラ
「命を、抱えるという事は、素敵な事でしょう?」
「潰したいですか?」
ルトヴィーク
「……潰したい、じゃないけど」
アウラ
そうではないでしょう?と微笑んで
「それが、命の重さなのです」
ルトヴィーク
「……簡単に壊せる事は、わかってたけど」
「持つのは、疲れる……」
アウラ
「武器よりも、鎧よりも軽いはずなのに」
「"重たい"、でしょう?」
紅茶を一口飲む
ルトヴィーク
顔を上げて、普段通りの俯瞰している様な、淀んだ鉄色の眼ではなく
まだ知らない、見せた事も無い色を灯しながら、小さく頷いた。
「……ああ、"重い"」
アウラ
カップをソーサーに戻して テーブルに置くと口を開いて
その瞳を見つめながら
「……そう思える事が、大切なのですわ」
ルトヴィーク
「……どうして?」
アウラ
「私も、貴方も、ローラも同じ重さを持っているのです」
「同じ重さを持っているから、大事に思えるのです」
「それを、これから覚えて行きましょう、ルトヴィーク」
ルトヴィーク
――、……」 命の、重み。
誰もが変わらない重みを持っているのなら、であれば
「……、」 この手は、どれだけ穢れているのだろう、と。
アウラの問いは、ぎこちなく頷いて
「……あ、あ」 乾いた声を漏らして、珈琲を一口飲み込んだ。
アウラ
「……覚えて行くことが、貴方の生き方にいい影響を与えてくれるはずですわ」
「…私が傍に居ますから」
ルトヴィーク
「……何で?」
アウラ
「お嫌ですか?」 問いには答えず 質問を重ねて
ルトヴィーク
「嫌じゃない、けど」 首を横に振って 「何でだ、って思って」
アウラ
「……気になるからです。貴方が」
少し間を置いて、そう答えた
ルトヴィーク
「……」 何かしたろうか。腕の中のローラに視線を落として少し考える。
「……なんで?」 無表情のまま顔を上げると、それを傾げる。
アウラ
「最初は、」
「無表情で一人でいる方だなと、思っていたのですが」
「人とのかかわりあいを避ける方という事に気がつきました」
「なら、私の事を意識させてみましょうか、という気持ちがあったのは事実ですわ」
ルトヴィーク
「……」 こいつ。性悪、とは口には出さないが、少し不満そうに
アウラ
「ただ、」
「貴方に触れて、苦しそうな貴方を見て」
「辛そうだと思いました」
「そのままにしておきたくないと、思ったのです」
ルトヴィーク
「……つらい?」
アウラ
「……あなたはたまに、声にならない悲鳴をあげていらっしゃいますから」
ルトヴィーク
「…………」 その言葉には、明確に眉根を深く顰めて
「あげてない」 ムッとしつつ、そう声を出した。
アウラ
「私にはそう見えたというだけですわ」
「……ただ、だからこそ、傍に居てあげたいと思ったのです。それをどういう感情かは、私にもよく分かりません」
「だから、気になると申し上げました」
ルトヴィーク
そこまで聞くと、ローラに回していた左手で頭を掻いて
「俺がローラを連れて行こうと思った時と似てる。……俺も、そんな感じだった、と思う」
「知ってたんだ。家族(おや)の死体を見たとき、この辺りが……気持ち悪くなるって」 曖昧に、胸と腹の辺りを擦って
アウラ
「…それは、悲しい。という気持ちです」
「喪失感…でもそうでしょうか。とにかく、辛く、苦しい感情である事は確かですわ」
「…‥泣けたら、良いのでしょうけれど」
「最後に泣いたのは、いつですか?」
ルトヴィーク
「……泣く、って」
「知ってるけど。したことはない」 首を横に振って 「あん、……アウローラは?」
アウラ
「勿論ありますわ」
「……誰しも、涙は流せるのです、辛く苦しい事があっても、痛みがあっても、…‥‥嬉しい事があっても」
ルトヴィーク
「……ひとなら?」
アウラ
「分かります。すぐには難しくとも」
「次、気持ちが悪くなった時、叫んでも、息を大きく吐き出しても良いです」
「目元に集中して…溢れる気持ちに逆らわないでいてください」
「その時傍に居れば、受け止めて差し上げますから」
ルトヴィーク
「……? でも、それは"泣く"……なのか?」
アウラ
「ええ。涙を流さずとも、泣く事は出来ます…涙が出るのが、一番ですが」
「殿方ですから」
ルトヴィーク
「……男は泣きたい時に叫ぶの?」 困惑する様に言って、
「あと、痛み……っていうのは、解らない」
アウラ
「涙を見せない人が多いのです」
「……そう、ですか」
ルトヴィーク
「見せない、か」 周りの人間も、兄もそうだったな、と振り返りながら
「うん。……」 左手で自分の顔を躊躇わずに殴ってみせる。骨と骨が衝突する鈍い音を響かせて、
アウラ
「…っ」
ルトヴィーク
「こういうのも、何もない」 至極当然の様に頷いてみせる。
「だから仕事の時も、身体が動かし辛い時だけ治してくれればいい」
 
店員もぎょっとした表情を見せ、 客の一部もなんだなんだとこちらを見る
ルトヴィーク
本人は素知らぬ顔で、悪びれる様子もない。
ローラ
真上で行われた突然の暴行に目を開いて そのままアウラの方へとかけていく。
アウラ
「……出ましょう、ルトヴィーク」 ローラを受け止めて 借りていた首輪を外す
ローラ
「……え。なんで?」
ルトヴィーク
「……え。なんで?」
アウラ
「ルトヴィーク」 有無を言わせない口調で
名前を呼ぶ
ルトヴィーク
首を傾げながら、小さく頷いて 「わかった」 と返事をして、席を立つ。
アウラ
先に退出させて、通常の料金とは別に迷惑料も込めてチップを多めに払う
ルトヴィーク
ローラはアウラが抱えたままだ。店の扉を出た所で立ち、ぼんやりと足元を見て
そのまま立ち尽くす。
アウラ
「お待たせしました」 ローラを抱えて 外に出てくる
ルトヴィーク
振り向いて 「どうしたの」
アウラ
「……」困った表情で
「急に自分の顔を叩く人は中々居ませんわ…触りますわよ」 確認を取ると同時に頬に触れて
 
自分で殴りつけたとは思えない様な痕が残っている。痛覚があれば、反射的に加減するのだろうが、
その類の躊躇がひとつもないように感じられる。
ルトヴィーク
「……まだ、良いって言ってない」 触れた手を止める事こそしないが、少し不満そうに。
アウラ
「…‥ごめんなさい」
ルトヴィーク
返事をせずに、好きにさせて
アウラ
「……」 腫れてこないと良いけれど…
「そろそろお店に行きましょうか…ちょうどいい時間のはずですわ」
頬から手を離して
ルトヴィーク
「……アウローラ」
アウラ
「それから……ああいった事はもうしないでください」
悲し気な表情を浮かべて
ルトヴィーク
「……うん。ごめ、ん?」 声をかけた理由もそれだったのか、少し声のトーンを落として
アウラ
「‥…なんでしょうか」 名前を呼ばれたので 受け応えるように
ルトヴィーク
少し言葉を選ぶように、あー、んー、と唸った後
「……もうしない」 頷いて、触っていい、と声をかける。
アウラ
「はい」 頷きを返すと
「寛容なる女神アステリアよ……癒しの囁きをここに」
ルトヴィーク
「……その表情(こえ)は、いやだな」 触れる、とは言ったものの、実際に触れる事はせずに
アウラ
奇跡を行使して、その打撃痕を癒すようにして 改めて頬に触れる
ルトヴィーク
眼を伏せて、ローラと同じように身を任せる。
アウラ
「なら、そうさせないでくださいな」 少し不満そうに
ルトヴィーク
「うん。だから、もうしない」 頷いて、頭を軽く叩く要領で撫でる。
アウラ
「……まったく」 困ったように笑って
ルトヴィーク
そのまま、ローラにしていた様に軽く頭を撫でながら、それでいいか、と確認をする。
アウラ
「さ、改めて参りましょう」 頷いて見せて
ルトヴィーク
「ん。……」 頷いて、アウラの一歩後ろについて歩く。
アウラ
お店で、道具の一式と首輪とリードを受け取ると すぐに店を出て
ローラを改めて抱き上げて ルトヴィークに差し出す 「さ、ご自分でつけてくださいな」
ルトヴィーク
首輪を手に取って、それを困った様に眺めると
「……どうするんだ、これ」
アウラ
「巻き付けるのですわ」
ルトヴィーク
「……」 折れそうだ、と眉を顰めながら 逐一教わりながら、ゆっくりと巻き付けてやる。
ローラ
少しばかり窮屈そうにして、嫌がる素振りを見せたものの
これまでの様な反抗を見せずに、アウラに諭されながら穏やかにする。
アウラ
「いい子です」 微笑んで
ルトヴィーク
「……」 金具部分に彫り込まれた、ローラという名前を一つ撫でて
「ローラ」 名を呼ぶと、ひとつ頭を撫でようとして――
ローラ
上から伸ばされた手に、甘噛みして抵抗する。
アウラ
「あら…」
ルトヴィーク
「……」
「名前の持ち主に似たみたいだ」
アウラ
「まだまだ、慣れが必要ですわね」 困ったように笑って
「まあ」
「それはどういう意味ですの?」
ルトヴィーク
「性悪、とか?」
アウラ
「ルトヴィークの普段の態度に困っているという点においては」
「似ているかもしれませんわね、ローラ」 語り掛ける様に
ローラ
語りかけられると、甘える様にアウラに身を寄せる。
アウラ
改めて胸に抱いて
ルトヴィーク
「……」 先程伏せた、過去の事を口にしようとして
ローラを抱いている姿を見て、飲み込み 「……仕事、いいのか?」
アウラ
「ええ、用件は済みましたし。戻らなくては」
「ただ荷物持ちはお願いします」
「それから、次に会いに来るのは三日後と指定させて頂きましょう」
「その次以降もどの日からどの日までが仕事かを細かに報告して頂いて」
ルトヴィーク
「ん」 荷物を受け取ろうと手を伸ばして
アウラ
「空いてる日に必ず来ていただきます」
ルトヴィーク
「…………」 「飼い主みたいだ」
アウラ
「?。貴方がローラの飼い主なのですから、当たり前でしょう」
ルトヴィーク
首を横にふって
「あんたが、俺の。そこまで決めてるから」
アウラ
「……ふふ」
「どうでしょうね」
ルトヴィーク
「……」
アウラ
「さ、帰りましょうか」
ルトヴィーク
「いや、飼われた覚えはないけど」
アウラ
「こちらも飼った覚えはございません」
ルトヴィーク
「……うん。ローラの事、助かった」
「………………」 こいつ。
アウラ
おかしそうに笑って
ルトヴィークの少し前をローラを抱えて歩く
ルトヴィーク
(……ああ、) その表情を見ると、背中に視線を向けながら心中で呟く。
(その表情(こえ)が良い) 決して口には出さずに、その後ろについて歩いた。
アウラ
こんなところでしょうか
ルトヴィーク
かな。長時間ありがとう
アウラ
セッション時間並でしたわね
とても楽しかったですわ
ルトヴィーク
……まあ。そうだな
じゃあ、また三日後(※)に。
アウラ
ええ
お付き合いありがとうございました
では、失礼いたします
)))
ルトヴィーク
)))
SYSTEM
アウラが退室しました。
SYSTEM
ルトヴィークが退室しました。
背景
BGM