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コモンルーム[V]

20191231V_0

SYSTEM
リコリスが入室しました。
リコリス
私よ。
SYSTEM
レイフェルが入室しました。
レイフェル
うん
リコリス
この間私とライカが話した後、戻る前にしばらくぼーっとしていればいい?
レイフェル
そうだね
リコリス
わかったわ。
じゃあ開幕やるからちょっとまっててね。
リコリス
 
レイフェル
おねがいね
リコリス
 
ディニス大鋼国における依頼の途中、一時的に〈奈落の剣〉によって作られた“奈落の魔域”へと避難することになった冒険者一行は、自分たちの休息や一緒に避難してきた者たちの介抱などをしながら過ごしていた。
肝心の〈奈落の剣〉の持ち主であるリコリスは、救助した人々から薬の影響を抜くための準備をしにいくために一人皆から離れ姿を消したが、かなり長い時間、皆から離れたままだった。
それを探しに来た冒険者の一人ライカと遭遇して話をした後、戻るとは約束したものの、もう少し身体が落ち着くまでは一人で居ようと決めて、リコリスは川沿いに座り込んでいた。
「…………」 膝を抱えてただぼうっと水面を眺める。
身につけていた衣服は、先程のような事態に備えて予め背中の大きく開いたもの。背中から魔物の腕が生えてきて出来た傷は、ライカのおかげで塞がってもいる。もう少しすれば、薬を飲んでいなくとも疼くような熱を抑えることが出来るまで落ち着くだろう。
 
ざ、ざ、ざ と足音が聞こえる
リコリス
――……」 反射的に腰の短剣を手に取る。
普段ならば足音で誰かを判断することは容易だが、今はそれを細かく聞き分けているだけの余裕がない。
 
段々と近づいてくれば、こちらに近づいてくる足音は、膝を抱える少女には耳馴染みのあるものだと分かるだろう
レイフェル
「……こんなところにいた」 声がかかる
リコリス
「…………」 しばらくその足音を聞いてから、短剣を握る手を緩めた。
「……休んでいただけよ、少し」 振り向くことなく、膝を抱えたまま返した。
レイフェル
より注意深く聞けば、その足音は普段よりもリズムがずれていて、 足音を鳴らした人物が受けたダメージの深さが伺い知れたかもしれない
リコリス
「傷は」
レイフェル
「…‥少し、って割には、長いよ」 隣までやってきて 座り込む
リコリス
「……」 問には答えず、膝を抱えたまま顔だけそちらを向いた。
レイフェル
「…大丈夫、塞がってるから」
リコリス
「痕が残らないようにしてね。綺麗な身体がいいわ」
レイフェル
「それはライカさんが何とかしてくれてるよ…確認まではしてないけど」 あはは、と笑って
「それに‥‥傷はもうあるからさ」
リコリス
「知ってるわ。剣を取る以上、傷付かないなんてことはないから」
「増やさないで、と言っているの。出来るだけ」
レイフェル
「これとかね」 首に走る首輪の様な傷跡に触れて
「あとは…‥剣とは関係ない傷もあるよ」
「まあ、頑張って…みます」 最近被弾も多いから、気にしてはいる様で
リコリス
「…………」 その傷跡を見せられると、膝をぎゅっと抱えた。
「……関係ない傷って、どれ」
レイフェル
「10歳の頃…って言っても数え方が微妙に違うから何歳かな…」
「里を出ようとして、高い場所から落ちたことがあるんだよね」
リコリス
「逃げたかったのね」
レイフェル
「その時の傷……お腹にあるけど、ちょっと見せるには恥ずかしいね」
「まあね。まあ、それがきっかけで逃げる必要はなくなったんだけど。居心地は良くなくてさ」
リコリス
「いいわ。今度見るから」
レイフェル
「……」困ったように笑って
「……そっちこそ、大丈夫?」
リコリス
「……何で落ちたら逃げる必要がなくなるの?」
レイフェル
「んーとね」
リコリス
「問われるまでもないよ。平気よ、見ての通り」
リコリス
ないわ、ね。
レイフェル
「うちの里だと、里長候補を産む子が、決まってて。今の里長と結婚することが決まってるんだけど」
「それがあたしだった。里長はあたしからすると怖い人だったから、良く知らずに嫌ってた」
「だから、それを教えられてからすぐくらいに、逃げ出したの」
リコリス
「そう……」 レイフェルをじっと見つめる瞳が暗くなる。 「怪我をしたから、結婚しなくてよくなったの?」
レイフェル
「で、傷が残るくらいの怪我しちゃって。それでお父さんとお母さんが掛け合ってくれた」
「しばらくもめたんだけど、」
「結果的にあたしの両親の希望が聞き届けられて、あたしは候補から外れた」
「なんで通ったのかは、教えてもらえなかったけど」
「それでちょっと、申し訳なくて…ね。剣ももっと学びたかったし、成人したらすぐに出たの」 
リコリス
「……変なの。怪我をする前から、言えばいいのに」 ぶつぶつと、レイフェルにではなくレイフェルの両親に対する不満を漏らす。
レイフェル
「普通は通らないから、何かあったんだとは思うんだけどね……まあ、もう昔のことだし」
リコリス
「そう。里では学べなかったのね、剣」
レイフェル
「さっきのも関係してて、」
「剣を教えてもらえなかったの。狩りって言えば投石とか投擲の技術ばっかりで」
リコリス
「じゃあ、何処で覚えたの、剣」
レイフェル
「こっそりと見て、勝手に」
「だからずっと我流‥」
リコリス
「里には居たのね、使える人」
レイフェル
「うん。剣技もあったよ」
「男の子を中心に教えてもらってたかな」
リコリス
「そう……逆ね。私たちとは」
レイフェル
「……そうかもね」
リコリス
「“葉”はね。女の子ばっかりなの」
「“花”として動きやすいのもあるし、薬との相性もあるから」
レイフェル
「……相性、か」
「……」 リコリスを改めて見つめて 「……」何か言おうとして
リコリス
「……何?」 視線に気付いて、膝を抱える腕に頭を乗せてレイフェルを見た。
レイフェル
「……」 行動で示す事にしたようだ 視線を手に向けて 握り、指を絡める
「…ああ、でもこっちかな」 そうしようとしてやめて 頭を撫でる
リコリス
「……? どうしたの」
レイフェル
「……我慢できてるから」
リコリス
「……我慢? 誰かを殺すのを?」
レイフェル
「‥‥普通に見える事が、逆に心配なんだよ」
「それもあるし、薬も捨てさせたから」
リコリス
「平気よ。もう慣れたわ、薬を飲まない時間には」
レイフェル
「……」
リコリス
「……」 レイフェルから視線を外し、目の前の川を見やれば、そこには他の誰の眼にも映らない無数の人の手が見える。
隣に座る相手の声や川のせせらぎの音がなくなれば、代わりに彼らの声が聞こえて来る。
レイフェル
「……1人になりたがったのは、そうする必要があったからじゃないの?」 視線を自分も川辺に移して 
リコリス
「……違うわ。嫌われている相手の前に、わざわざ長居して、不和を起こす理由もないと、そう思っただけ」
レイフェル
「だったら、あたしまで遠ざける必要は、なかったんじゃない?……それとも、気を遣ってくれた?」
「……あの時、あたしから真っ先に、離れて行こうとしたと思ったんだ」
リコリス
「レイフェルは――」 疲れていたからと続けようとして、途中で声が止まり、口だけが動いた。 「…………」 代わりに膝を抱え直し、伏し目がちな目をさらに細めて黙り込む。
レイフェル
「……リコリス、あのね」
リコリス
「……何」
レイフェル
「あたしの前では、ううん」
「あたしの前だから、気を遣わなくて良いんだよ」
「……取り繕わなくて良いというか」
「……あたし、全部が分かってる訳じゃないんだけど」
リコリス
「……レイフェルの前だから、嫌なのよ」
レイフェル
「……どうしてか、聞いても良い?」
リコリス
「……私、ずっと思ってたわ。自分のこと、特別なんだって」
「薬を飲んでも、他の子たちと違って、感情は残っていたし、薬を飲まずに居た時の禁断症状もなくって」
「“葉”としての技術も他の子たちよりずっと早く身につけることができて、色んな“根”に気に入られて、“葉”だけじゃなく、色んな役割を与えられていたから」
「……けど、違ったわ。別に、特別なんかじゃなかったのよ、私」
「……他の子たちより、少しだけ、()かっただけ」
「薬漬けになった子たちは、感情が消えたわけじゃない。ただ、それが表に出てこなくなっているだけ。あの落ち葉……アネットや、出来損ないのはずの人形を見て、そう思った」
「……私には、禁断症状が出なかったわけでもない。ただ、人より出るのが遅くて、それが出る前に次の薬を飲んでいたから、気付いていなかっただけ。たとえ出ても、それを苦しいと思えないくらい、鈍かったのよ」
「……薬を飲んでいないとね、聞こえるの、見えるの」
「私が今まで殺してきた人たちの声が、手が、顔が。私がこうしてのうのうと生きている事を赦さないと言いながら、奈落の底に引きずり込もうとしてくるの」
「……それがおかしいとは思わないわ。正当なものよ、彼らの主張は」
「でも――」 じっとレイフェルの顔を見つめてから、俯いて、頭を抱える。 「……混ざるのよ、そこに」
「……あなたが……」
レイフェル
「……」
リコリス
「……優しい言葉を掛けてくれるレイフェルが、本物なんだって分かってる。でも、あなたと同じ顔で、声で、……あなたは私を責めてくる……」
「それがたまらなく嫌で、厭で……耐えられなくて、あなたを殺してしまいそうになる……」
レイフェル
「……何度でも、帰ってくるよ。帰ってこれる限り、何度だって」
「でも、もうリコリスに殺されるわけにはいかないの……だって、もしそれで帰ってこれなかったら」
「責めるあたししか居なくなっちゃうじゃない…」
「……そんな形でずっとそばには居たくないよ」
リコリス
「……そうよ。だから、今はレイフェルの傍に居たくないの」
レイフェル
「……リコリス」
リコリス
「魂が穢れ切るのなんてすぐ……次は本当に帰って来られるかわからない……。あなたがいつ居なくなるかわからない……」
レイフェル
「リコリス」
リコリス
「私はにんげんにはなれないの。薬がなくちゃ……薬があれば、あの声も……」
レイフェル
「……それだけは、だめ」
「……それが、その痛みや怖さが、にんげんらしさなんだよ」
「それが怖いから、そうなりたくないから、……一緒に居るし、頑張ろうってなるの」
「……あなたはなれる。なれるけど、そうなるためには痛いのを怖いのを越えないといけない」
「それを薬に逃げちゃダメ」
「……あたしは今、残酷なことを言ってるんだと思う」
「でも、あたしのリコリスが、」
「戦ってるんだから…」
「あたしだって……頑張らなきゃね」
言葉を思い出す。あたしの匂いや香りで、辛さが緩和されるなら ──、いや
「……」理由は、要らないよね
「リコリス」
リコリス
「…………」 強く名前を呼ばれて、俯いていた顔を少しだけ上げた。
レイフェル
名前を呼んで リコリスより少し高い位置に来るように膝立ちになって
両手で頬を挟むようにしてこちらを向かせる
リコリス
「…………」 涙を流してはいないが、いつもよりも潤んだ赤い瞳がレイフェルを見つめる。
レイフェル
「あたしはどこにもいかない。口だけの約束じゃなくて、本当に。ずっと、一緒に居るから」
「ずっと待ってるから…」
「……あたしもずっと一緒に居たいから」
「……あたしから逃げないで。薬なんかに、"華"なんかに負けたくない」
「……ううん」 首を振って
次の言葉を紡ぐ前に リコリスを見つめて 顔を近づけて
目をつぶり、ぎこちなく唇を重ねる
リコリス
――…………」 触れた唇の感触に伏し目を大きく見開く。強い風が吹いたように、余計なものが全て消えて、辺りが静寂に包まれる。
レイフェル
「……」 重ねて 数秒したら 離して 「逃がさない…から…」 顔を真っ赤にして そう宣言した
リコリス
「…………」 反射的にレイフェルの首へと腕を回して、もっと強くその感触を求めるように、小さな吐息を漏らしながら強く唇を押し付けてから、離す。
レイフェル
「んんっ‥‥」
リコリス
唇が離れると、指でまだレイフェルの感触の残る唇を撫でて、目を細めた。
「……負けてないわ、レイフェル」
「……あなたのキスは、麻薬ね」
レイフェル
「……」 顔を真っ赤にして 「そ、」 それなら良かった、そうかな と言いかけて 「そ、」 そうなの
「……あ、う…は、初めてなのに、そう…なの…?」
リコリス
「……ええ。どんな薬よりも強くて、依存してしまい(くせになり)そう」
レイフェル
「……か、からかってる…?」 まだ顔が赤くて、自分の頬を自分で触って
リコリス
「……」 首を横に振る。 「本心よ」
レイフェル
自分でやっちゃった、自分からキスすることになるなんて… 思考がぐるぐるとなりつつ
「……~~」 余計に恥ずかしいのか 声にならない声を出して
リコリス
「…………」 キスの火照りが収まってくれば、またすぐに居ないはずの人たちが見える。しかし、あれほどまで耳障りだった声も、今だけは気にならない。
レイフェル
「……~~!」 耳がぴくぴくと動いて尻尾がぶんぶん振られる
リコリス
ゆっくりと立ち上がり、お尻をぱんぱんと払って汚れを落とすと、レイフェルの腕をとって、自分の腕を絡めた。
「触って欲しそうにしている耳と尻尾は、また今度、ね」
「……今は、歯止めが利かなくなっちゃいそう」
レイフェル
「…‥は、歯止めって…」 これ以上にないくらい顔を真っ赤にして
「……もう、リコリスの意地悪…」
リコリス
意地悪という言葉に、人差し指を自分の唇に当てて、んー、と考える。
「……きっと、元々そういう性格(にんげん)なのよ、私」 うっすらと微笑んで言うと、絡めた腕を引いた。 「戻りましょ、みんなのところ」
レイフェル
「……」 その笑顔にどきっとなりつつ 「……かなわないなぁ」 
「…うん、戻ろう」
引かれる腕を逆に引いて 肩を寄せる様にして歩いていく
リコリス
レイフェルと並んで戻る道中にも、彼らの声は響き続けている。でも、今日はもうきっと大丈夫。私をにんげんにしてくれる薬がすぐ傍にあるから――
 
 
リコリス
こんなところかしら。
レイフェル
うん
お付き合いありがとう
リコリス
こちらこそありがとう。
きっと今日はよく眠れるわ。
レイフェル
よかった
抱き寄せる様にして寝るね
それじゃあまた
リコリス
ひっついて寝るわ。
うん、またね。
レイフェル
)))
リコリス
)))
SYSTEM
レイフェルが退室しました。
SYSTEM
リコリスが退室しました。
背景
BGM